
靴底がぼろぼろになるという現象があります。それは、加水分解と言う現象です。加水分解は、靴底でいうとウレタン製の靴底に起こる現象です。それは、突然起こる化学反応ではありません。ウレタンの生成(靴底の生産)から少しずつ加水分解と言う劣化が始まり、靴底の内部強度が落ちていきます。靴底がぼろぼろになるというのは、内部強度が落ちた靴底で歩行した時に力が加わり生じた最終的現象です。
靴以外に加水分解のある身近な製品としては、一眼レフカメラの遮光部分に使われているモルトプレーンなどが該当します。モルトプレーンとは、ファインダー部やクイックターンミラー部のクッション,フイルム室の遮光部に使用されている黒いスポンジ状のものです。青春の思い出のカメラを押入から出したときにフイルム室の裏蓋がべとべとになっていた事がありませんか。あれも加水分解現象です。ウレタン製のマットレスや枕、ソファー、隙間テープ等がぼろぼろになるのも加水分解が原因です。


加水分解とは、物に水分子が加わって物が分解する事を表します。前に述べたように、ウレタンの加水分解は時間が経過して変化します。よって、経時変化を起すとも言います。
それでは、化学的に加水分解とはどのようなものか説明します。まず、加水分解する代表的な化学物質で酢酸エチル(酢酸エステル)を例にとって説明します。
CH3COO−CH2CH3 + H2O --------> CH3COO-H +
CH3CH2−OH
【酢酸エチル】 【水】 【酢酸】 【エタノール】
この分解反応が加水分解です。ウレタンにおいても同様なメカニズムの反応が起こります。

前の項目で、
加水分解前(酢酸エチル:CH3COO−CH2CH3)と
加水分解後(酢酸 :CH3COO-H )
について比較してみると、分解後の化学式が単純である事が解るでしょう。
これをウレタンで考えてみると、ウレタンは高分子であり化学式は長い物となっております。長い分子が絡み合ってウレタン樹脂となっているのです。絡み合っている分子が、加水分解を起すと分子が短くなります。よって、絡み具合がほぐれます。ほぐれると、強度は弱くなります。よって、これが進行して行くとぼろぼろになります。更に進むとべたべたの液状となります。
次回は、以前にも取り上げましたが、このウレタンと上手につきあっていく方法をご紹介したいと思います。
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